タリアの北西部に位置し世界でも有数の観光地であるヴェネツィアを有するヴェネト地方。この地方はヴェネツィア共和国時代(11世紀頃~)にレヴァント(東方)交易の拠点となったため、インドなどからコショウをはじめ、様々なスパイスが持ち込まれ経済的にも豊かになりました。
交易の拠点として繁栄したヴェネツィアを中心に発展してきた料理はヴェネト料理と呼ばれています。ヴェネト料理は、交易によってもたらされた複数のスパイスを使うものが多いのと、トウモロコシ粉を原料にしたポレンタを頻繁に使う傾向がありますが、ヴェネツィア、ヴェイチェンツァ、ヴェローナ、トレヴィーゾなど地域によって個性があり伝統的な料理にも違いがあります。
ソーパ・コアダは、ヴェネツィアから北に25㎞離れたトレヴィーゾ(Treviso)の伝統料理で、鳩肉やレバーと煮汁を固くなったパンにかけ、オーブンで時間を掛けて焼くというものです。現在は鶏肉で作ったり、トマトソースを加えることもあったりするなど様々なバリエーションが存在します。
また、トレヴィーゾはトリッパの煮込み(Sopa di trippe)も有名で、今でもトライプという看板を掲げた居酒屋があるほどです。
ソーパ・コアダは、イタリアが統一された以降に生まれた料理です。トレヴィーゾの伝統的なトリッパ料理は豆とトリッパを白いスープで煮込み、パスタと合わせるというものだそうですが、固くなったパンを再利用し、体の中から温まり美味しく食べるソーパ・コアダ風もあったのでしょう。
- シチュー用牛トリッパ
- 400g
- ボルロッティ(うずら豆)
- 60g
- Ⓐ 白ワイン
- 200㏄
- Ⓐ 水
- 800㏄
- Ⓐ ブーケガルニ(ローリエ、ローズマリー、セージ、タイム、イタリアンパセリ)
- 1束(各適量)
- Ⓐ ミックススパイス(黒コショウ(ホール)、シナモン、クローブ、コリアンダーシード)
- 1袋(各適量)
- Ⓐ 食塩
- 10g
- Ⓐ 砂糖
- 5g
- Ⓑ バター
- 40g
- Ⓑ ニンニク(みじん切り)
- 2g
- Ⓑ タマネギ(1㎝角切り)
- 300g
- Ⓑ ニンジン(1㎝角切り)
- 150g
- Ⓑ セロリ(1㎝角切り)
- 150g
- Ⓑ 白ワイン
- 70㏄
- Ⓑ 食塩
- 適量
- Ⓒ レモン(皮、すりおろし)
- 10g
- Ⓒ ローリエ
- 0.2g
- Ⓒ ローズマリー(みじん切り)
- 0.2g
- Ⓒ セージ(みじん切り)
- 0.2g
- ラディッキオ・ロッソ(タルディーヴォ種)(ざく切り)
- 140g
- シナモン
- 適量
- コショウ(粗挽き)
- 適量
- 食塩
- 適量
- パン(1㎝スライス)
- 100g
- グラナパダーノ(チーズ)
- 40g
- バター(小さく切る)
- 40g
- ボルロッティは一晩かけて水に浸しておく。
- シチュー用牛トリッパを1㎝幅の拍子切りにする。
- 深鍋に白ワインを入れて火にかけ、アルコールが飛んだらⒶの材料をすべて入れて煮る。
- 30分ほど煮込んだら、ブーケガルニとミックススパイスを取り出して漉す。
- 別の鍋にⒷのバターを入れて火にかけ、ニンニクを入れて香りを出す。
- ④にタマネギ、ニンジン、セロリを入れ、色づかないように弱火で火を通す。
- 白ワインを入れて一煮立ちさせ、塩で味を調える。
- ⑦に③とトリッパ、ボルロッティ、Ⓒを加えて煮込む。
- ラディッキオを加えて軽く煮込んだらシナモン、黒コショウ、塩で味を調える。
- グラタン皿にバターを塗り、パンを敷き詰めたら煮汁をかけ、具材を乗せる。
- グラナパダーノを乗せてからバターを散らし、150℃のオーブンで20分ほど焼く。
この料理には、コショウ、シナモン、クローブ、コリアンダー、シナモン、などのスパイスや、ローリエ、ローズマリー、セージ、タイム、イタリアンパセリなどのハーブを使い、複雑な味に仕上げます。下ごしらえにとても手間や時間が掛かりますし、最後にオーブンに入れる時も低い温度でじっくりと時間を掛けて焼き上げます。料理名についているCoadaはイタリア語のcovataが語源とされています。これには鶏が卵を抱えて雛にかえすようにゆっくり温めるという意味があり、昔は100℃以下のオーブンに4~5時間入れて仕上げていたようです。
またラディッキオ・ロッソ(タルディーヴォ種)を使うのもトレヴィーゾならでは。紅白が鮮やかなチコリの一種です。2月が旬の“冬の花”(フィオーレ・デンヴェルノ)と呼ばれ色々な料理に使われます。
その他にもイタリア北部のポー川流域で生産されるグラナパダーナを使ったり、北部の料理らしくバターを使ったり、地元食材と東方貿易によってもたらされた食材が融合しててきたことを感じますね。
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