メキシコには、紀元前2万年頃から人類が生活していた痕跡があります。アメリカ大陸で最も古い文明とされているオルメカ文明(紀元前1300年頃)やマヤ文明のように高度な技術や知識を持った人々が暮らしていました。
それぞれの文明は互いに影響し合い、トウモロコシを主食としたメソアメリカ文明は北米大陸から中米に至るまで広範囲に浸透し、15世紀に栄えたアステカ文明にも伝承されていました。そこには、トウモロコシや豆を中心に、野菜と組み合わせたり唐辛子などのスパイスや調味料で様々な味付けを施したりと技術や手間のかかる伝統料理が沢山ありました。今でもメキシコ南部で生活しているオアハカ先住民族のサポテコ族やミシュテコ族、ユカタン半島に住むマヤ族など、それぞれが守り続ける独自の料理も存在しています。
その後、1521年に武装したスペイン人コンキスタドール(征服者)の一人であるコルテスによってアステカ文明が滅ぼされたことで、大勢のスペイン人たちが入植していきました。結果、ヨーロッパから牛や豚、タマネギやニンニク、ロリエなどが持ち込まれたり調理方法などが伝わったりし、もともとあった食材や料理と融合していきました。
ソパ・デ・レンテハス・コン・フルタスは、オアハカで食べられている郷土料理の一つです。直訳すると「フルーツ入りのレンズ豆スープ」となります。レンズ豆のスープにプラタノ(プランティン)というバナナに似たバショウ族の植物やパイナップルを入れて煮込むところは先住民から、タマネギとニンニクで味付けするところや肉類を入れるところはスペインの影響を受けた料理で、特にタクステペック地区の場合は、ロリエを使い豚肉を入れて煮込むのが特徴です。
- グリル用ポーク肩ロース
- 150g
- レンズ豆
- 200g
- タマネギ(みじん切り)
- 150g
- ニンニク(みじん切り)
- 1片分
- サラダオイル
- 15㏄
- ベーコン(5mm幅スライス)
- 100g
- プラタノ(1㎝輪切り)
- 1本分
- ロリエ
- 1枚
- パイナップル(角切り)
- 180g(1/4個分)
- 食塩
- 5g
- クミン(パウダー)
- 少量
- オレガノ(乾燥)
- 少量
- レンジ豆を15分ほど水に浸したらザルにあけて水を切っておく。
- グリル用ポーク肩ロースを約1㎝の厚さにスライスし、一口大にカットしておく。
- サラダオイルをしいた鍋を中火にかけ、タマネギとニンニクを炒める。
- タマネギがしんなりしたらベーコンとプラタノ、ロリエを入れてさらに炒める。
- 水(約1ℓ)を入れたらレンズ豆と豚肉を入れて強火にする。
- 沸騰したら弱火にしてフタをし、豆が柔らかくなるまで煮込む。
- 塩を加えて味をなじませてから、パイナップルを加え軽く煮込む。
- 仕上げにクミンとオレガノを入れ、弱火で3~5分ほど火にかけて馴染ませる。
オアハカには、先住民文化による食文化の継承によって最も多くの郷土料理があることから「メキシコで最もおいしい料理が食べられる町」として知られています。
これはメキシコ南部に位置するオアハカ州は古代から年間を通じて温暖な気候と渓谷地帯ならではの生態系が存在しているからです。紀元前500年頃から作られ始めたとわれている古代都市モンテアルバンには高度な天文学を使うサポテコ族が住み、色々な種類の唐辛子を使い分けたり、チャプリネスというバッタを食用に使ったりしてきました。
スペイン人が入植した16世紀にヨーロッパ風の街並みが作られていきました。生活様式や宗教、食などの異国の文化が伝わり融合していくうえで大切な役割を担ったのが修道院といわれています。先住民の伝統的な料理であるモーレの中で最も有名で特別なお祝いの時に食べられているモーレ・ポブラーノもその一つです。
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