イベリア半島の西北部、ガリシア地方とバスク地方の間に位置するアストゥリアス地方。
8世紀に西ゴート王国がジブラルタル海峡を渡ってきたムーア人(北西アフリカ出身のイスラム教徒)によって侵略されたにも関わらずアストゥリアス地方だけは険しい山があったことで助かったという逸話の残る地域です。お陰でケルト人たちが独特な風俗や文化をはぐくむことができ、アストゥリアス王国(カスティーリャ王国の始祖)は10世紀頃からレコンキスタ(国土回復運動)の中心的役割を果たしたといわれています。また、この時期にケルト人によって作られたキリスト教会のアストゥリアス建築様式が後の教会建築に大きな影響を与えたとされています。
アストゥリアス地方の海岸線は雨が多くて温暖な海洋性気候ですが、狭い平地に起伏や湿地帯があるためトウモロコシや豆類など限られた種類の作物しか作る事ができず、男たちの多くは漁業に出ていきました。一方、内陸にある山は険しく11月から5月までの長期間雪が降るため栗を収穫したりアストゥリアス鉱山で働いたりしていたようです。そのため、昔は田畑を耕したり荷車を引いたりするのに雄牛を使っていました。
アストゥリア料理の中で最も代表定なものが、ファバーダ・アストゥリアーナです。ファバというのはアストゥリア地方のソラマメのことで、陶器の鍋にファバと豚肉、ベーコン、モルシージャ、ロンガニーサなどを入れて長時間煮込みます。豚肉や豚肉加工品の味が交じり合って深みの出たスープをファバが吸い込んで、地味深く食べ応えのある一皿に仕上がります。ちなみに、ガリシア地方と並ぶスペインでも有数のトウモロコシ生産地帯なのでトウモロコシ粉で作る甘味の無いパンとファバーダ・アストゥリアーナを一緒に食べるのが主流です。
- シチュー用ポーク(1㎝スライス)
- 265g
- 白インゲン豆(乾燥)
- 133g
- ロンガニーサ(チョリソでも可)
- 4本
- モルシージャ
- 2本
- オリーブオイル
- 40㏄
- タマネギ(スライス)
- 185g
- トマト(大、へたを取る)
- 1個
- ニンニク(皮付き)
- 4片(40g)
- パプリカ(パウダー、ドゥルセ)
- 12g
- サフラン(パウダー)
- 少量
- 食塩
- 適量
- 白インゲン豆は一晩水に浸してふやかしたら茹で、ザルに上げて水を切っておく。
- オリーブオイルを入れた深鍋を火にかけ、タマネギをしんなりするまで炒める。
- パプリカを加えて混ぜ合わせたら、トマト、ニンニク、サフランを入れ、約600㏄の水を加えて1時間ほど煮込む。
- ③からトマト、ニンニクを取り出して裏ごし、ピューレ状にして鍋に戻す。
- シチュー用ポーク、白インゲン豆、ロンガニーサ、モルシージャを入れ、豆が溶けだすくらいまで煮込む。
- 最後に塩で味を調える。
アストゥリアス地方を代表するファバーダ・アストゥリアーナはトウモロコシ粉で作ったパンと一緒に食べるのが流儀です。昔はトウモロコシを日当たりのよい場所に広げて干し、乾いたらオレオという穀物倉庫に入れてパンにしたり冬の時期は家畜の餌にしたりしていました。オレオの造りはアストゥリアス地方とガリシア地方のもので若干異なりますが、いずれも雨による湿気を防ぎ、ネズミが入らないよう高床式になっています。
また、アストゥリアス地方で古代から作り続けられてきたものがシドラと呼ばれるリンゴ酒です。(昔はリンゴ酒の国と呼ばれていたそうです。)酸味が強く琥珀色のリンゴ酒は頭上からグラスに注ぎ入れることで泡が立ち軽い味に変化するので、この泡が消える前に飲むのがコツです。
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