ペルーで食べられている伝統的料理の一つであるペピアン(Pepián)は、お米(Arroz)やヒヨコマメ(Garbanzo)、白いトウモロコシ(choclo)などを使い、それぞれをすり潰してから牛肉や豚肉・鶏肉などと一緒にトロトロになるまで煮込む料理です。ペピアンという言葉はペルーやエクアドル、ボリビアなどで使われているケチュア語で「とろみをつける」という意味があるそうです。
一方、同じ名前の料理がグアテマラにもあり、こちらが発祥とする説もあり無形文化遺産として指定されています。ペルーのペピアンと異なりカボチャの種を使うのが特徴で、乾煎りしたカボチャの種を唐辛子などのスパイスとともにスープに入れ、柔らかくなるまで煮てからペースト状にして牛肉や豚肉・鶏肉などと一緒に煮込みます。チマルテナンゴ県で使われているカクチケル語でカボチャのことをペピアン(Pipián)と呼びます。
さらに、メキシコにもペピアンがあり、カボチャの種のことをペピータ(Pepita de calabaza)と呼びます。
グアテマラからペルーまで直線距離で3,000㎞以上もあるのに、使われる材料や調理方法など少しずつ変化するものの同じ名前の料理が存在するのはとても興味深いことです。
これは、メキシコやグアテマでは原産地とされているカボチャが、ペルーを含む中南米が原産とされているインゲンマメやベニバナインゲン、ライマメ、ラッカセイなど多種多様な豆が古代から栽培され、食べられていたところに、スペイン人をはじめとするヨーロッパの食文化が入り込んだことが理由の一つだと考えられます。
特にペピアン・デ・ガルバンソの場合、アジア西方に位置するメソポタミアが原産とされているガルバンソを使うところにスペインの影響が見て取れるともいえます。ガルバンソは鳥のくちばしのような突起があることから、日本ではヒヨコマメ、中国では鶏児豆、英語ではChickpeaと呼ばれていますが、スペインではガルバンソ(Garbanzo)と独特な名称がつけられています。スペインから持ち込まれたガルバンソをペルーの伝統的なペピアンという料理にアレンジするとともに、スペイン人が入植してから持ち込まれた牛や豚を入れ、料理として融合させたものの一つといえるでしょう。
- グリル用ポーク肩ロース(一口大にカット)
- 300g
- ガルバンソ(乾燥)
- 230g
- ニンニク(すりおろし)
- 2片分
- タマネギ(みじん切り)
- 200g
- コリアンダー(ペースト)
- 60g
- ニンジン(1㎝角切り)
- 60g
- サラダオイル
- 36g
- チキンコンソメ
- 800㏄
- 食塩
- 適量
- コショウ
- 適量
- インディカ米
- 300g
- 水
- 450㏄
- Ⓐ アヒ・アマリージョ
- 10g
- Ⓐ レモン汁
- 10g
- Ⓐ ニンニク(すりおろし)
- 少量
- Ⓐ コリアンダー(みじん切り)
- 10g
- Ⓐ 食塩
- 少量
- 一晩に水に浸したガルバンソを茹でて、潰しておく。
- インディカ米を炊いておく。
- サラダオイルをひいたフライパンを火にかけ、ニンニクとタマネギを炒める。
- 火にかけたままニンジンとコリアンダーペーストを加えてからチキンコンソメを入れて伸ばしていく。
- グリル用ポーク肩ロースを入れて15分ほど煮込み、塩コショウで味を調える。
- Ⓐの材料を全部混ぜ合わせてサルサ・クリオージャをつくる。
- 皿にライスを盛り付けてから、ペピアン・デ・ガルバンソを乗せサルサ・クリオージャを添える。
ペルーでは紀元前1500年頃に農耕の発達と土器使用が始まったことで定住生活が当たり前になり、生活が豊かになり、急激に人口が増えたようです。ガルバンソは、現在、大豆に次いで世界中で二番目に食べられている豆で、原種とされている小粒のデシ(Desi)は約11、000年前頃から栽培されるようになった可能性があるようです。これは人類が本格的に狩猟生活から農耕生活に変わるより前の時代です。栄養価が高く、保存しやすかったデシはその後インドに伝わったことで現在流通している大粒のカブリ(Kabuli)という品種が生まれたようです。さらにヨーロッパ全土に伝わった時にスペインでは「種」ガラウ(Garau)と「乾いた」アンツゥ(antzu)を合わせてガルバンツゥ(Garbantzu)と呼び、これがガルバンソ(Garbanzo)に変化したという説があります。他のほとんどの地域では特徴的な見た目を呼び名にしたのにもかかわらず、保存の状態を称したのかは解りません。
もう一つ不思議なのはペルーの最北部で海岸線に近いトゥンベス県にガルバンサル遺跡(Garbamzal)というものがあることです。色々と調べてみましたがガルバンサルという単語はルーツを見つけられませんでした。なぜ、紀元前2000年頃に造られた遺跡がヒヨコマメを彷彿とするような名前なのか興味は尽きません。
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