南仏プロヴァンス地方では、冬が明け春の初めにかかる季節にドーブという蒸し煮料理を食べる習慣があります。牛肉、羊肉、タコ、鶏肉などを使ったドーブには、それぞれに作り方の順序があったり、食卓に一緒に並べる付け合わせが決まっていたりと昔から変わらない規則のようなものが継がれています。
共通するのはキャセロール・ドゥ・テールという煮込み用の素焼きの土鍋(ドーブ鍋)を使うのも伝統的な作り方。
基本的なルールとしては昔から羊肉とタコの場合は赤ワインを使う、仔羊の脚と胃袋を使うピエ・エ・パケの場合は白ワインを使うといったものがあり、牛肉を使ったドーブには、赤ワインと白ワインの両方が存在します。
牛肉の場合はワインで2~3時間ほどマリネしてから野菜を交互に入れたら鍋のフタをしっかりしてから火にかけて、沸騰させないように弱火で8~9時間かけてコトコト煮込んでいきます。プロヴァンス料理の多くは家庭料理が発展したものが多いので、ドーブ鍋を暖炉の隅に置いて煮込んでいる間に家事をしたり、暖炉の灰の中に一晩寝かせておいたりするような作り方をします。余計な手間を掛けずに長時間煮込むことで牛肉を柔らかく食べられるように仕上げるという生活の知恵から生まれた料理とも言えます。
付け合わせにも定番があります。ピエ・エ・パケやタコの場合は茹でジャガイモ、牛肉や羊肉の場合はマカロナードという料理を一緒に出すというものです。マカロナードとは、ハーフボイルしたマカロニにドーブの煮汁を掛けてからシュレッドチーズを振り掛けて、チーズが溶けるまでオーブンで焼くものです。プロヴァンス地方はイタリアに近く、昔からマカロニやパスタ類を食べる習慣があります。時間を掛けてつくる美味しいドーブのソースをマカロニに吸わせてボリュームを増やせばお腹も満たされることからこのような食べ方が定着したのだろうと考えられます。
- シチュー用ビーフ(一口大にカット)
- 400g
- シチュー用ビーフ(肉汁)
- 200g
- ニンジン(5mmダイスカット)
- 1本分
- タマネギ(5mmダイスカット)
- 4個分
- セロリ(5mmダイスカット)
- 1本分
- トマト(湯むき、種取り、粗切り)
- 3個分
- 赤パプリカ(スライス)
- 3個分
- ブーケガルニ(パセリ、ローリエ、タイム、ローズマリー)
- 1束
- ロリエ
- 1枚
- 白ワイン
- 500㏄
- 小麦粉
- 適宜
- 黒オリーブ(種抜き)
- 10個
- 緑オリーブ(種抜き)
- 10個
- オリーブオイル
- 45㏄
- 食塩
- 少量
- コショウ
- 少量
- オリーブオイル30㏄をひいたフライパンを火にかけ、ニンジン、タマネギ、セロリを炒める。
- 野菜がしんなりしてきたら塩コショウと小麦粉を加えて軽く炒め合わせ、シチュー用ビーフ(肉汁)と水400㏄、白ワイン、ブーケガルニを加え沸騰させたら弱火にして15分ほど煮込む。
- 別のフライパンにオリーブオイル15㏄をひいた火にかけ、タマネギと赤パプリカを炒めたら塩コショウで味をつける。
- ③をシノワで漉して鍋に移し、④とシチュー用ビーフ、黒オリーブ、緑オリーブ、トマトを加えて15分ほど煮込む。
- マカロナードを作り、一緒に提供する。(マカロナードの頁を参照してください。)
ドーブは、一度に沢山の量を作ることの多い料理です。出来上がった料理は一旦器に移してから一晩冷やし、味を馴染ませ煮凝りのようにします。このとき、肉や野菜を先に拾って器に入れ、具材が表面に出ないようソースを上からかけて乾かないようにします。こうすれば、食べる量に合わせて取り分けて温め直せるというわけです。食べきれない時は、一旦ソースを溶かして肉だけを取り出してボイルしたスイスチャードやホウレンソウとともに細かく刻みブルース(チーズ)を混ぜ込みます。これを種にした肉団子を作って味を変えるというのも昔から続くおばあちゃんの知恵のようです。
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