フランス中部を流れるロワール河流域に中世から栄えたトゥール地方は、森や渓谷とともに肥沃な平野がいくつもある地域。城(シャトー)が点在し美しい塔（トゥール）が象徴的だったことからこの名がつきました。豊富な食材に囲まれ、古くから文化が栄えていたので川魚や豚肉や豚肉加工品などを使った料理も数多く生み出されました。
中でも特に名高いのはトゥール風リエットとトゥール風リヨン。リヨンは豚肉を短冊状に切ってからラードで低温加熱（１００度以下）して柔らかくし、使うときはラードから出してフライパンでこんがり炒めてサラダに添えます。保存食なので、陶製の器に入れてラードをかぶせておけば長期間保管できます。
またロワール河はフランスワイン用のブドウ栽培の北限であると同時に高品質なワインの産地でもあります。フランスの美食家たちは、この地方の料理に敬意を払って料理と同じ地方で作られたワインで乾杯する風習があります。